永住権・永住ビザ申請に必要な理由書とは?書き方のコツや注意点も
日本に在留する外国人の多くが取得を希望する永住権(永住ビザ)ですが、申請には多くの書類提出が求められます。中でも重要となるのが「理由書」です。理由書と聞くと不思議に思うかもしれませんが、日本の永住申請においては「永住権を取得したい理由」も、永住許可を得るための重要な要素となります。
この記事では、永住権申請における理由書の書き方から注意点まで、詳しく解説していきます。永住権の申請をお考えの外国人の方はぜひ参考にしていただければと思います。
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永住権(永住ビザ)申請に必要な理由書とは?
外国人が永住許可を得るには、永住申請を行い審査を通過しなければなりません。近年、出入国在留管理庁(以下、入管)の審査が厳格化され、永住ビザの許可率は50%前後となっています。申請者が本当に永住ビザを取得するに値するのかを見極めるためにも、理由書は非常に重要な役割を果たすのです。
理由書は、永住権申請理由書もしくは永住許可申請理由書とも呼ばれています。入管では次の通り、理由書の形式と日本語文の記載を定めたうえで、提出資料として求めています。永住権申請理由書または永住許可申請理由書と言われた場合でも、同じ理由書だと覚えておきましょう。
理由書 1通 ※ 永住許可を必要とする理由について、自由な形式で書いて下さい。 ※ 日本語以外で記載する場合は、翻訳文が必要です。 |
永住申請には数多くの書類を提出しますが、理由書は申請内容を補足し、審査官に申請者の事情を伝える重要な役割を果たします。審査官は、申請した外国人が永住許可を求める理由や、申請に至った背景なども理由書を通じて丁寧に審査します。ですので、理由書の内容如何によっては、永住許可の可否に大きな影響を与えることになるのです。
理由書の目的
永住権(永住ビザ)申請における理由書には、主に以下のような目的があります。
- なぜ永住許可が必要なのかを明確にするため
- 提出書類だけでは永住要件を満たしているか判断しづらい「申請に至った背景」などを補足し、審査時の誤解を招かないようにするため
このように、理由書は永住許可の審査をスムーズに進めるための重要な役割を担っているのです。
永住権(永住ビザ)申請で理由書が必要な人とは?
永住申請で必要とされる理由書は、全ての申請者に求められるわけではありません。理由書が不要な人・必要な人は次のように分けられます。
理由書が不要な人
次のいずれかに当てはまる外国人の方は、原則として理由書の提出が不要です。ただし特別な事情など、審査官に補足したい内容があれば理由書を提出することが可能です。
- 日本人の配偶者
- 永住者の配偶者
- 特別永住者の配偶者
- 日本人の実子
- 永住者の実子
- 特別永住者の実子
このように、日本人や永住者などと家族関係にある方は、「家族とともに安定して暮らしたい」という明確な理由があるため、通常は理由書の提出が免除されています。
理由書が必要な人
一方で、次のいずれかの在留資格を持つ外国人の方は、原則として理由書の提出が必要です。
- 定住ビザ
- 就労ビザ
- 家族滞在ビザ
- 高度人材
このように、就労目的で日本に在留する外国人や、永住者・日本人の家族以外の方は、なぜ日本に永住したいのかという論理的な理由を求められます。
理由書の提出が必要かどうかは、申請者の在留資格によって異なります。該当するかどうか不明な場合は、入管に問い合わせるか、専門家に相談するのが賢明でしょう。理由書の提出が必要な方は、次の章で解説する書き方のポイントを参考に、しっかりと準備を進めていきましょう。
永住権(永住ビザ)申請の理由書の書き方・内容とは?
理由書は自由に書いて良いとされていますが、実際に書くとなると何を書けば良いのか悩むものです。ポイントとしては、A4サイズの用紙1〜2枚程度で簡潔にまとめることです。冒頭は審査官への挨拶から始めるのが好ましいでしょう。そのうえで、以下の項目について丁寧に説明していきます。
1. 来日してから現在に至るまでの経緯
原則として、永住権の申請は日本在留期間が10年以上でなければなりません。理由書には、来日してから現在に至るまでの10年に及ぶ経緯を簡潔に書きます。単なる事務的な内容ではなく、日本での生活で印象に残ったエピソードなどを交えながら、日本との深い結びつきをアピールするのが効果的です。
例えば、日本の文化や習慣に触れて感銘を受けたこと、地域のお祭りにボランティアとして参加したことなど、具体的なエピソードを盛り込むと良いでしょう。
2. 現在の状況について
現在の生活や仕事の状況について具体的に説明します。特に重要なのが、仕事で安定した収入を得ているかどうかです。永住許可の審査では、申請者が独立して生計を立てられるかどうかが重要なポイントとなります。現在の仕事でのやりがいや将来の計画にも触れつつ、経済的に自立した生活が送れることをアピールしましょう。
また、家族がいる場合は、家族とどのような生活を送っているかも重要なポイントです。子供の教育環境や家族の交流など、充実した家庭生活をおくっている様子を具体的にイメージできるようにすると良いでしょう。
さらに、今後も問題なく生活できるとアピールするためにも、年収や貯蓄額などの記載があると、審査官の心証が良くなります。数字を示すことで、申請者の経済的な安定性を客観的に示すことができるからです。
3. 日本に永住したい理由
理由書の中で最も重要なのが、「なぜ日本で永住権を取得したいのか」という点です。自国に帰らず日本に住み続ける選択をした背景について、具体的かつ納得のいく説明が必要不可欠です。単に「日本で生活基盤ができたから」というだけでは説得力に欠けます。
例えば、「日本の文化や価値観に深く共感し、日本社会に貢献したいと考えているから」「日本で学んだ知識やスキルを活かして、日本の企業で長く働きたいから」など、「日本でなければいけない明確な理由」を丁寧に説明しましょう。
4. 締めくくりの文章
理由書の締めくくりには、「これからも日本の法律を守り、社会の一員として真面目に生活していく」という宣誓の言葉を添えましょう。永住許可を得た暁には、日本社会に溶け込み、良き市民として生活していく決意を示すことが重要です。
以上のような内容を盛り込みつつ、理由書をまとめていきます。ただし、理由書には注意すべき点もいくつかあります。次の章では、理由書を書く際の注意点について解説します。
永住権(永住ビザ)申請の理由書を書くときに気を付けるべき注意点
理由書は自由に書いても問題ありませんが、以下のような注意点があります。
1. 丁寧に書く
理由書の文字は綺麗に書かなくても問題ありませんが、審査官が読みやすいよう丁寧に書くことが大切です。手書きの場合は、読みやすい字で書くよう心がけましょう。パソコンで作成する場合は、フォントサイズを10.5ポイント以上にし、行間を詰めすぎないよう注意が必要です。
2. 日本語の翻訳文を必ず用意する
日本語に不安のある申請者の中には、母国語で理由書を書く人もいます。しかし、理由書を母国語で提出する場合は、必ず日本語訳文を添付しなければなりません。自分で日本語訳を作成するのが難しい場合は、翻訳会社や行政書士など専門家に依頼するのがおすすめです。
3. 理由書のテンプレートを使い回さない
ネット上には、永住申請の理由書のテンプレートが多数出回っています。手っ取り早く済ませたい気持ちから、そのままテンプレートを使う申請者も少なくありません。しかし、入管の審査官は同じような内容の理由書を幾度となく目にしているので、テンプレートを使った理由書では永住許可を得られる可能性が低くなってしまいます。理由書はあくまで申請者オリジナルのものを用意しましょう。
4. 事実を記載する
当然のことながら、理由書には事実のみを正確に記載しましょう。入管では、永住申請に合わせて過去の申請内容もチェックします。理由書の記載内容が過去の申請内容と食い違っていると、虚偽の疑いをかけられる可能性があります。特に、在留期間や職歴など客観的な事実については、資料と照らし合わせて整合性を確認しておくことが大切です。
以上のような点に気を付けながら、理由書を作成していきましょう。事実に基づいた説得力のある内容であれば、永住許可を得られる可能性がぐっと高まるはずです。
永住権申請を専門家「ビザコンサルタント」に依頼するという選択肢
永住権申請の理由書の作成は、申請者本人にとって大変な作業であることは間違いありません。書類の準備から日本語訳の用意まで、申請のために乗り越えるべきハードルは数多くあります。
特に日本語の読み書きに不安のある方にとっては、理由書の作成自体が大きな負担となるでしょう。理由書の内容次第で永住許可の可否が左右される可能性もあるため、プレッシャーも感じるかもしれません。
そんな時は、思い切って専門家に申請を依頼するのも一つの賢明な選択です。行政書士などのビザの専門家は、これまで数多くの永住権申請に携わってきた経験を持っています。適切な申請書類の準備はもちろん、説得力のある理由書の作成についてもお手伝いしてくれるはずです。
ビザコンサルタントに依頼する際の流れや料金については、以下の記事で詳しく解説しています。
・ビザコンサルタントにビザ申請を依頼した時の流れや料金について解説
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まとめ
日本への永住を希望する外国人にとって、永住申請の理由書は審査を左右する非常に重要な書類です。理由書では、申請者が日本に10年以上在留してきた経緯や、永住を希望する理由を論理的に説明することが求められます。
理由書では、自身の経緯や現状、永住を希望する理由を簡潔かつ具体的に書くことがポイントです。また、記載内容や書式にも注意が必要不可欠です。
日本での永住権取得は、外国人の人生を大きく左右する一大イベントです。在留資格によっては、理由書の内容が永住許可の可否を分ける可能性もあります。
外国人の方はぜひこの記事を参考に、説得力のある理由書を作成してください。日本で長く充実した生活を送れるよう願っています。
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