外国人の方が会社を退職したら現在の就労ビザはどうなる?必要な手続きについて解説!
今の会社を辞めたい、転職したいとお考えの外国人の方、退職後に必要な手続きはご存知ですか?
外国人の方が日本の会社を退職する際には、在留資格の変更をはじめとする各種手続きが必要となります。これらの手続きは、時に複雑で時間もかかるものです。
しかし、ビザの問題は外国人の方の日本での生活に直結する重要な問題…。退職後の予定に応じて、どのような手続きが必要なのか、スケジュール感を持って進めていかなくてはなりません。
手続きを誤ると、せっかくの転職のチャンスを逃したり、場合によっては日本での滞在資格を失ったりすることにもなりかねません。
そこで今回は、外国人の方が日本の会社を退職する際に必要なビザ関連の手続きについて、ケース別に詳しく解説します。自身の状況に合わせて必要な手続きを確認し、円滑な転職・帰国を実現させましょう。
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外国人の方が日本で退職した後に必要なビザの手続きとは?
日本の会社を退職後、外国人の方が取るべきビザ関連の手続きは、大きく分けて2つあります。
1つは、退職後14日以内に入国管理局へ提出する「所属機関に関する届出」です。これは、転職の予定がなくても、また帰国予定であっても、必ず行わなければならない手続きです。
そしてもう1つが、在留資格に関する手続きです。こちらは、退職後の予定によって、取るべき対応が異なります。
ここでは、それぞれの手続きについて、より詳しく見ていきましょう。
入国管理局に「所属機関に関する届出」を届出
外国人が日本の会社を退職した場合、まず必ず行わなくてはならないのが「所属機関に関する届出」です。これは、退職後14日以内に入国管理局へ提出する義務があります。
会社を退職後14日以内に手続きを行う
「所属機関に関する届出」は退職日から数えて14日以内が提出期限です。たとえ帰国予定であっても、この届出は必須の手続きとなります。
届出の際は、退職理由や今後の予定など、必要事項を漏れなく記入します。期限を過ぎての提出や虚偽の記載は処罰対象となるので、正確に行うよう心がけましょう。
この届出を怠ると、在留資格取消の理由になったり、次回のビザ更新や変更の際に悪影響が出る可能性があります。スムーズな在留資格管理のためにも、退職後の手続きトップリストに挙げておくことをおすすめします。
届出方法は窓口持参、郵送、オンライン申請の3つ
届出書の提出方法は、入国管理局の窓口へ直接持参、郵送、オンライン申請のいずれかを選択できます。中でもオンライン申請が最も便利な方法と言えるでしょう。
オンライン申請の場合は、出入国在留管理庁電子届出システムを利用します。このシステムでは、24時間365日いつでもオンラインで届出が可能で、入管署の窓口に出向く必要はありません。さらに、届出の履歴や処理状況も確認できるのが大きなメリットです。初回利用時には利用者情報登録が必要ですが、届出事項を証する資料の提出は不要です。
窓口に持参する場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署で、在留カードを提示の上、届出書を提出します。受付時間は手続きにより曜日や時間が決められている場合があるので、事前に確認しておくことをおすすめします。届出事項が記載されていれば様式は問いませんが、届出事由に応じた参考様式を使うと便利です。
郵送の場合は、届出書と在留カードの写しを同封し、封筒の表面に「届出書在中」または「NOTIFICATION ENCLOSED」と朱書きして、東京出入国在留管理局在留調査部門届出受付担当宛に送付します。郵送での届出は受付連絡等がないため、配達記録が残る方法での発送がベターです。
退職後の予定によって変わるビザ
外国人の方が日本の会社を退職した後、取るべき道は大きく分けて3つあります。帰国する場合、転職先が決まっている場合、求職活動を続ける場合です。それぞれのケースで必要なビザ関連手続きが異なるため、自身の予定に合わせて適切な対応を行うことが重要です。
【帰国予定の場合】ビザは不要
退職後、すぐに母国へ帰国する予定の方は、在留資格の変更手続きは不要です。ただし、「所属機関に関する届出」は必ず提出しましょう。
帰国までの間に、市区町村役場での転出手続き、公共料金の解約、住居の退去など、さまざまな手続きが発生します。計画的に準備を進め、出国までにすべての手続きを完了させるようにしてください。
【転職先が決まっている場合】ビザの在留資格を変更
退職後、別の企業への転職が決まっている場合、原則として在留資格の変更手続きが必要です。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」などの在留資格で働いていた方が、転職先で同じ仕事内容の職に就く場合でも、改めて在留資格認定証明書の交付申請を行う必要があります。
一方、転職後も同じ在留資格で働ける場合は、在留資格の変更は不要です。ただし、所属機関の変更届出は必須です。
在留資格変更の手続きは、現在の居住地を管轄する地方出入国在留管理局で行います。必要書類を揃えた上で、余裕を持って申請しましょう。
なお、在留資格変更の手続きは複雑で時間もかかるものです。書類の準備や提出方法に不安がある方は、ビザコンサルタントに依頼することをおすすめします。
ビザコンサルタントは、在留資格変更申請の代行サービスを提供しており、必要書類の準備から入管への申請まで、全ての手続きを代わりに行ってくれます。料金はコンサルタントによって異なりますが、申請の種類や必要な書類の量に応じて決まるのが一般的です。
ビザコンサルタントを利用することで、煩雑な手続きを専門家に任せられるため、安心して転職に専念できるでしょう。ビザコンサルタントへの依頼を検討されている方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
▶︎ ビザコンサルタントにビザ申請を依頼した時の流れや料金について解説
【求職活動を予定している場合】一時帰国の必要はないがビザに注意
転職先が決まっておらず、求職活動を続ける予定の方は、一時帰国の必要はありませんが、ビザの扱いには十分な注意が必要です。
3か月以内に転職する必要がある
就労ビザを持つ外国人が退職した場合、原則として3か月以内に再就職しなければなりません。3か月を超えて無職の状態が続くと、在留資格取消の対象となる可能性が高まります。
ただし、3か月以内の再就職が絶対条件というわけではありません。求職活動を真摯に行っているにもかかわらず、転職先が見つからないなど、正当な理由があれば取消を免れることもあります。
とはいえ、安易に3か月を超えてしまうことは避けたいところ。できるだけ早期の再就職を目指し、求職活動に専念しましょう。
3か月の期間があくと「在留資格の取り消し」の対象になる
繰り返しになりますが、就労ビザ保持者が3か月以上無職の状態が続くと、在留資格取消のリスクが高まります。
ただ、この3か月ルールにもいくつか例外があります。会社の倒産や解雇など、自己の責任ではない理由で退職に至ったケースは、取消対象から外れる場合があります。
また、積極的な求職活動の様子が認められれば、取消を免れることもあり得ます。転職活動の記録はしっかりと残し、入管当局から事情を聴取された際に説明できるよう備えておくことが大切です。
いずれにせよ、3か月以上の長期にわたって無職でいることは避けたいものなので、再就職に向けて、できる限りの努力を続けましょう。
外国人でも失業手当は受け取れる?
日本で働く外国人の方にとって、気になるのが失業手当の受給資格です。結論から言えば、一定の条件を満たせば、外国人であっても日本人と同様に失業手当を受け取ることができます。
失業手当は、仕事を失った人が再就職までの生活を支えるための重要な制度です。外国人の方も、この制度を有効に活用することで、再就職活動に専念できるでしょう。ただし、注意すべき点もいくつかあるので、よく確認しておきましょう。
条件付きで期間満了までは受け取れる
失業手当を受給するには、次の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険の加入期間が12か月以上、就職活動を積極的に行い、再就職する意思がある
原則として、退職前の会社で1年以上雇用保険に加入していた外国人の方は、失業手当の受給資格を得られます。ただし、自ら積極的に就職活動を行い、再就職する意思があることが条件となります。
なお、会社の倒産や解雇といった本人の意思によらない理由で退職した場合は、雇用保険の加入期間が6か月以上あれば受給できます。
失業手当の金額や支給期間は、年齢や雇用保険の加入期間、退職理由などによって異なります。手続きは、住所地を管轄するハローワークで行います。必要書類を確認の上、早めに手続きを済ませましょう。
また、ハローワークは、単に失業手当の申請を行う場所というだけでなく、外国人の方の就職支援も行っています。外国人の方向けの職業相談や、就職に必要な情報の提供など、さまざまなサービスを利用できます。ハローワークについてさらに知りたい方は、以下の記事もぜひお読みください。
▶︎ 外国人の方にとって日本のハローワークとは?求人や雇用について詳しく解説します |
在留資格の延長はできない
外国人の方が失業手当を受給する際の最大の注意点は、在留資格の扱いです。
失業手当の受給期間中に在留期限が到来した場合、在留資格の更新ができないケースがほとんどです。在留資格が切れると、たとえ失業手当の受給期間が残っていても、支給は打ち切りになります。
つまり、失業手当の受給期間と在留期間は必ずしもイコールではないのです。在留期限が迫っている場合は、早期の再就職を目指すか、一時帰国も視野に入れる必要があります。
在留資格を「短期滞在」にすることで就職活動は可能な場合もある
「技術・人文知識・国際業務」など就労ビザで働いていた方が、在留期限までに再就職できない場合、在留資格はどうなるのでしょうか。
一つの選択肢は、在留資格を「短期滞在」に変更することです。これにより、引き続き日本国内で就職活動を続けられる可能性があります。
ただし、「短期滞在」への変更が認められるかどうかは、ケースバイケースです。入管当局の判断に委ねられる部分が大きいので、確実とは言えません。
事前に入管に相談し、「短期滞在」への変更の可否を確認しておくことをおすすめします。また、在留資格変更の申請には、求職活動の計画書など、説得力のある資料を添付しましょう。
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まとめ
今回は、外国人の方が日本の会社を退職する際に必要なビザ関連の手続きについて解説しました。
退職後は、入国管理局への届出、在留資格の変更、失業手当の受給など、さまざまな手続きが発生します。自身の予定に合わせて、適切な対応を行うことが大切です。
特に、在留資格の扱いには十分な注意が必要でしょう。再就職や帰国のスケジュールを見据えつつ、在留期限切れだけは避けるよう心がけましょう。
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