門松 (kadomatsu)は日本の伝統的な新年を祝う飾り!
日本で初めてお正月を迎えた外国人の方は、家に竹や松の飾り物があるのを見て、「これは何だろう?」と不思議に思うかもしれません。
この記事では、そんな疑問にお答えします。日本のお正月に欠かせない「門松 (kadomatsu)」について、その意味や飾り方、処分の仕方など、詳しく解説していきます。
日本の伝統的なお正月飾りを知ることで、日本文化への理解をより一層深められるはずです。ぜひ、この記事を読んで、日本のお正月を心ゆくまでお楽しみください。
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門松 (kadomatsu)とは?
門松 (kadomatsu)は、日本の正月に欠かせない伝統的な飾りの一つです。玄関先や門の脇に飾られる、松や竹などを使った縦長の装飾のことを指します。
門松を飾る習慣は、江戸時代に庶民の間に広まったと言われています。当時は、武家屋敷の門に飾られていた門松を、庶民が真似るようになったのだとか。今では、日本全国の家庭で、お正月の風物詩として親しまれています。
門松 (kadomatsu)の種類
門松には、いくつかの種類があります。地域や家庭によって、飾る門松の形や大きさが異なるのも特徴です。ここでは、代表的な門松の種類を2つ紹介しましょう。
寸胴門松 (zundou kadomatsu)
寸胴門松 (zundou kadomatsu)は、竹を真っ直ぐに切り、それを3本または5本束ねた門松です。シンプルな形が特徴で、飾りもあまりついていません。
寸胴とは、「胴回りが長い」という意味です。この名前の通り、寸胴門松は、細長い形をしているのが特徴です。シンプルな分、飾る場所を選ばず、玄関先にも門の脇にも飾りやすいのが利点です。
角切門松 (kakukiri kadomatsu)
角切門松 (kakukiri kadomatsu)は、竹を斜めに切り、それを交互に組み合わせた門松です。寸胴門松に比べて、より装飾性が高いのが特徴です。
角切とは、「角を斜めに切る」という意味です。この名前の通り、角切門松は、竹を斜めに切ることで、立体的な形を作り出しています。角切門松には、松や南天、千両などの縁起物が飾りとしてつけられることが多いです。
また、最近では、プラスチックや造花を使った、手軽な門松も登場しています。本物の松や竹を使わないため、お手入れが簡単で、長く使えるのがメリットです。
門松 (kadomatsu)の各部分の意味
門松は、単なる飾りではなく、それぞれの構成要素に意味があります。松や竹、そして飾りとして使われる植物には、それぞれ神聖な意味が込められているのです。ここでは、門松の各部分の意味について詳しく解説していきましょう。
松の木:神の宿る場所としての信仰
門松の主役とも言える松の木は、日本では古くから神聖な木として信仰されてきました。常緑樹である松は、冬でも葉が枯れないことから、永遠の命や不老長寿のシンボルとされています。また、松の木は神様が宿ると考えられており、神聖な空間を作り出すのに欠かせない存在なのです。
竹:生命力と繁栄を表す
門松のもう一つの主要な構成要素である竹は、その強靭さと真っ直ぐに伸びる性質から、強い生命力と繁栄の象徴とされています。竹は、どんな環境でも生き抜く逞しさを持っており、また節目節目で成長することから、立身出世や家運隆盛の意味も込められているのです。
梅の花やケール:幸運をもたらすものとしての信仰
門松には、松や竹の他にも、梅の花やケールなどの植物が飾りとして使われることがあります。梅の花は、寒い冬に可憐に咲く花であることから、困難に負けない強さと、春の訪れを告げる吉兆の意味があります。一方、ケールは、葉が縮れていることから、「困る (komaru)」という言葉と掛けて、困ったことがあっても乗り越えられるという意味が込められています。
このように、門松に飾られる植物には、それぞれ幸運を呼び込む意味があるのです。
なぜお正月に門松 (kadomatsu)を飾るのか
門松を飾る習慣は、日本の古い歴史の中で育まれてきました。では、なぜ日本人はお正月に門松を飾るのでしょうか?その理由は、神様を家に招くためです。
日本の伝統的な信仰では、お正月になると、「年神様 (toshigami sama)」と呼ばれる神様が、家々を訪れると考えられています。年神様は、その家に福をもたらし、家族の健康と幸せを守ってくれるとされています。門松は、その年神様を家に招き入れるための目印となる大切なアイテムなのです。
門松を玄関に飾ることで、年神様に「こちらです」と家の場所を知らせ、招き入れることができると考えられてきました。また、門松の松や竹、飾りの植物には、前述したように神聖な意味が込められています。これらの意味を持つ門松を飾ることで、年神様を敬い、家に福を呼び込もうとしたのです。
年神様の代表的な存在として知られているのが、秋田県の「なまはげ (namahage)」です。なまはげは、年の瀬に悪い子どもを戒めるために家々を訪れる、鬼のような姿をした神様で、怖い見た目とは裏腹に、子どもの成長と健康を願う優しい神様なのです。このような年神様を門松で迎えることが、お正月の大切な習わしとして継承されてきました。
現代では、必ずしも宗教的な意味合いだけでなく、おめでたいお正月の雰囲気を演出するための飾りとしての側面も大きくなってきています。しかし、古くから受け継がれてきた門松の意味を知ることは、日本の伝統文化を理解するうえで重要なことではないでしょうか。
門松 (kadomatsu)を飾る期間
門松を飾る時期は、地域によって多少の差はありますが、一般的には12月の下旬から1月の中旬くらいまでです。多くの家庭では、クリスマスが終わったあたりから準備を始め、12月28日までには飾り付けを完了させます。
関東地方では、1月7日まで門松を飾る習慣があります。一方、関西地方では、1月15日まで門松を飾ることが多いようです。
ただし、門松を飾り始める日には、避けたほうが良い日があります。それが12月29日です。12月29日を日本語の発音で言うと「にじゅうく (nijyuuku)」となり、これが「二重苦 (nijyuuku)」と同音であることから、縁起が悪いと考えられているのです。「二重苦」とは、二重に苦しむことを意味します。せっかくの新年を苦しみから始めたくないですよね。だからこそ、12月29日の門松飾りは避けるのが賢明です。
門松を飾る期間は、地域差はありつつも、おおむね1ヶ月ほどです。この間、門松と共に新年を祝い、家族の健康と幸福を願いましょう。
門松 (kadomatsu)の飾り方
門松の飾り方は、住居の種類によって少し異なり、一軒家に住んでいる場合と、マンションに住んでいる場合では、飾る場所や方法に違いがあります。
ここでは、それぞれの住居タイプに合わせた門松の飾り方を詳しく見ていきましょう。
一軒家の場合
一軒家に住んでいる場合、門松は玄関や門の脇に飾るのが一般的です。この場合、「雄松 (omatsu)」と「雌松 (mamatsu)」の2本を用意します。「雄」とは”male”のことで、「雌」は”female”のことです。雄松は左側、雌松は右側に配置するのが正しい飾り方とされています。
雄松と雌松の違いは、松の枝ぶりにあり、雄松は、力強く伸びた枝ぶりが特徴的で、雌松は、しなやかで優美な枝ぶりをしています。この雄松と雌松の調和が、夫婦和合や家内安全の願いを表しているのです。
一軒家の場合は、玄関や門の脇にスペースがあることが多いので、存在感のある大きめの門松を選ぶのもおすすめです。門松のサイズは、家の大きさや玄関の雰囲気に合わせて選びましょう。
マンションの場合
マンションに住んでいる場合は、玄関ドアの前に門松を飾ることになります。ただし、マンションの共用スペースは、他の住民の通行の妨げにならないよう配慮が必要です。
マンションの場合は、玄関ドアの前のスペースが限られていることが多いので、コンパクトなサイズの門松を選ぶのが賢明です。小さめの門松なら、玄関の内側に飾ることもできます。玄関の内側に飾る場合は、靴を脱ぐスペースを確保しつつ、バランスよく配置しましょう。
また、マンションによっては、共用部分に門松を飾ることができる場合もあります。その際は、管理組合の規定を確認し、他の住民の迷惑にならないよう注意が必要です。
門松 (kadomatsu)の処分の仕方
お正月が過ぎ、門松を片付ける時期になったら、その処分方法にも気を配りましょう。門松は神聖なものですから、感謝の気持ちを込めて、丁重に扱うことが大切です。ここでは、門松の処分方法について、詳しく説明していきます。
どんど焼き (dondoyaki)で燃やす
門松を処分する伝統的な方法が、「どんど焼き (dondoyaki)」と呼ばれる行事です。どんど焼きは、毎年1月中旬ごろに、神社やお寺で行われます。門松だけでなく、正月飾りや書き初めなども一緒に燃やします。
どんど焼きは、単に門松を処分するだけでなく、一年の無病息災を願う意味もあります。燃やした際に出る煙には、邪気を払う力があると信じられています。また、燃え残った灰を家に持ち帰り、玄関に撒くと、家内安全につながるとも言われています。
最近では、環境保護の観点から、どんど焼きを行わない地域も増えてきました。しかし、今でも多くの神社やお寺で、この伝統行事が継承されています。お住まいの地域で、どんど焼きが行われているかどうか、確認してみてはいかがでしょうか。
お清め (okiyome)をしてごみの日に捨てる
どんど焼きが行われていない地域や、自宅で門松を処分する場合は、ごみの日に捨てることになります。その際は、門松を神聖な役目を終えたものとして、感謝の気持ちを込めて扱うことが大切です。
門松を処分する前に、「お清め (okiyome)」をしましょう。お清めの方法は簡単で、門松に塩を少し振りかけるだけです。塩は、清めの力があると考えられており、門松についた汚れや穢れを祓ってくれます。
お清めが終わったら、門松を丁重にごみ袋に入れ、可燃ごみとして捨てます。この時、「一年間、ありがとうございました」と感謝の気持ちを込めると、門松の神聖な役目を讃えることができるでしょう。
門松 (kadomatsu)を買える場所と値段
門松は、お正月を迎える大切なアイテムですが、どこで購入すればよいのでしょうか。また、価格の相場はどのくらいなのでしょうか。ここでは、門松の購入場所と値段について、詳しく解説していきます。
専門の業者で買う
門松は、専門の業者から購入することができます。こうした業者は、門松づくりのプロフェッショナルであり、高品質な門松を提供してくれます。業者の中には、長い歴史を持ち、代々門松づくりを継承してきた老舗もあります。
専門業者の門松は、材料の選定から製作まで、手間暇かけて作られています。そのため、価格は2万円〜3万円ほどする場合もありますが、その分、クオリティは抜群です。特に、玄関先に豪華な門松を飾りたい方には、専門業者がおすすめです。
また、最近では、専門業者の門松をオンラインショップで購入することもできます。自宅にいながら、気軽に門松を手に入れられるのは嬉しいですね。オンラインショップなら、全国各地の有名な門松業者の商品を比較検討できるのも魅力です。
おすすめの専門業者▶︎ 日本の門松
スーパーやホームセンターで買う
門松を手軽に購入したい方には、スーパーやホームセンターがおすすめです。これらの店舗では、12月になると、門松コーナーが設置されます。品揃えは専門業者ほど豊富ではありませんが、手頃な価格で門松を購入できます。
スーパーやホームセンターの門松は、プラスチックや造花を使った手軽なタイプが多いです。本格的な門松に比べると、質感は劣りますが、お手入れが簡単で、長く使えるのがメリットです。また、コンパクトなサイズの門松も多く、マンションにお住まいの方に適しています。
スーパーやホームセンターの門松の価格は、1,000円〜4,000円程度が相場です。高級品に比べると、リーズナブルな価格設定になっています。お財布に優しい門松を探している方は、ぜひチェックしてみてください。
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門松 (kadomatsu)以外のお正月飾り
お正月には、門松以外にも様々な飾りが家々を彩ります。これらの飾りは、門松と同様に、新年を祝い、家内安全や豊穣を願う意味が込められています。ここでは、代表的なお正月飾りを2つ紹介します。
しめ縄 (shimenawa)
しめ縄 (shimenawa)は、稲わらを縄状に編んだもので、神聖な場所や物を示すために用いられます。玄関や神棚に飾られるのが一般的です。縄には、悪霊を寄せ付けない力があると信じられており、神々の依り代としての役割もあります。
しめ縄の形には、輪っかの形をしたものと、縄の両端を切って垂らしたものの2種類があります。輪っかの形は、円満や調和を表し、切って垂らした形は、神霊が宿ると考えられています。しめ縄には、松や柑橘類、紙垂(shide: 特殊な断ち方で折った紙)などが飾られることもあります。
飾る時期や処分方法は、門松と同じです。12月下旬から1月上旬に飾り、地域のどんど焼きで処分するか、自宅でお清めをしてから捨てます。
鏡餅 (kagamimochi)
鏡餅 (kagamimochi)は、丸餅を2個重ねて、その上に橙 (daidai: オレンジ色の果物)などの縁起物を飾ったものです。丸い形は、円満や調和を表し、餅の白い色は、清浄や神聖さの象徴とされています。
鏡餅は、神棚や床の間に飾るのが一般的で、神様へのお供えとしての意味があります。また、鏡餅は、その年の豊作と家内安全を願う気持ちも込められています。
鏡餅は、12月28日頃から飾り始め、1月11日の鏡開き (kagamibiraki: 飾っていた鏡餅を食べる行事のこと)の日まで飾ります。鏡開きの日に、鏡餅を割って食べると、一年の無病息災が願えると言われています。食べきれない場合は、小さく切って雑煮に入れたり、味噌汁に入れたりして食べるのが一般的です。
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まとめ
いかがでしたか?この記事では、日本のお正月に欠かせない門松について、様々な角度から詳しく解説してきました。
門松は、単なる飾りではなく、神様を家に迎え、新年の幸せを願う大切なアイテムです。松や竹、そして飾りの植物には、それぞれ神聖な意味が込められています。
そして、門松以外にも、しめ縄や鏡餅など、お正月を彩る伝統的な飾りがあります。これらを門松とともに飾ることで、新年をより一層華やかに迎えられます。
日本のお正月飾りは、長い歴史と伝統に彩られた、特別なアイテムです。その意味を理解し、飾ることで、新年の喜びをより深く感じられるはずです。
外国の方にとっては、なじみのない飾りかもしれません。しかし、その意味を理解し、日本の伝統にふれることは、異文化を学ぶ良い機会になるでしょう。ぜひ、興味があれば、お正月飾りを取り入れてみてください。日本の新年を感じられる特別な体験ができるはずです。
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