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技能実習生失踪後に取るべき対応~ペナルティや対策についても解説

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真っ暗な街

中小企業を中心に深刻化する人手不足への対応策として、技能実習生の受け入れが年々増加しています。しかし、このポジティブな取り組みの影で、就労中に失踪する技能実習生の数も増えているのが現実です。

この記事では、技能実習生が失踪した場合の適切な対応方法、失踪によって受け入れ企業が直面する可能性のあるペナルティ、そして技能実習生の失踪を防ぐための対策について詳しく解説します。失踪事案に直面している、または失踪を防ぎたいと考えている方々は、ぜひ参考にしてください。

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技能実習生の失踪数は年々増加している

技能実習生を雇用する企業や団体の数が増え続ける一方で、技能実習生の失踪件数も年々増加しているというのが現在の状況です。最近のデータによると、令和3年は7,167人だった失踪者数は、令和4年には9,006人と、約1.25倍に増加しています。

この問題は、外国人労働者の全体数が令和3年が約173万人から令和4年が約182万人に増加していることと比較すると、失踪者数の増加が単なる労働力人口の増加だけではなく、より複雑な問題を指し示していることがわかります。技能実習生の増加と同様に、失踪者数の増加も見逃せない課題となっており、受け入れ体制や管理方法の見直しが求められています。

参考:厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』 技能実習生の失踪者数の推移|法務省

技能実習生が失踪した際の対応

技能実習生が失踪してしまった場合は迅速な対応が求められます。最初の対応として、技能実習生の安全を確保するため、以下の行動を取る必要があります。

  1. 技能実習生の監理団体へ速やかに連絡
    • 監理団体は、技能実習生のサポートと管理を担っています。失踪の事実を共有することで、一緒に解決策を模索します。
  2. 警察への通報
    • 技能実習生が事件に巻き込まれている可能性もあるため、早急に警察への通報が必要です。
  3. 外国人技能実習機構に「技能実習実施困難時届出書」を提出
    • この届出は、実習の円滑な実施が困難になった場合に必要となります。失踪事件の発生を正式に報告します。
  4. 失踪以前に発生した給与の支払い手続き
    • 法律に基づき、失踪前に発生した労働に対する給与は適切に支払う必要があります。
  5. 技能実習生の退職手続き
    • 法的要件に基づき、必要な退職手続きを行います。

これらの対応は、失踪した技能実習生に対する即時かつ適切な対応を保証し、同時に企業側の責任を果たすために重要です。失踪事案に迅速に対応することで、技能実習生の安全確保と問題解決の可能性が高まります。

技能実習生の失踪が発覚した場合のペナルティ(罰則)

ここからは、技能実習生の失踪が発覚した場合に課せられるペナルティについて解説します。

受入企業・受入機関側が受ける可能性のあるペナルティ(罰則)

失踪事案が発覚した場合、受け入れ企業や団体には厳格なペナルティが課される可能性があり、主なペナルティとして、以下の2つが挙げられます。

  • 一定期間の研修生・技能実習生受け入れ停止
  • 優良認定要件の減点

詳しく解説していきましょう。

一定期間の研修生・技能実習生受け入れ停止

技能実習生の失踪(行方不明)は条件を満たすと「不正行為」として認定されます。

「不正行為」が認められた場合、受入企業・受入機関は「研修生・技能実習生の受け入れが一定期間認められない」というペナルティが課されるという仕組みです。

受け入れが認められない期間は「不正行為」の重大性によって5年・3年・1年のうちから決定されますが、行方不明者が多発した場合は3年の新規受け入れ停止となっています。

また、3年が経過しても、改善策の提出を行うとともに「問題再発の恐れがなく適正な技能実習の実施が見込める」と地方入国管理局が認めなければ、受け入れの再開は認められません。

参考:公益財団法人 国際研修協力機構|技能実習生の行方不明者発生防止対策について

優良認定要件の減点

失踪の原因によっては「優良な実習実施者(受け入れ企業)及び管理団体」の認定要件から減点されてしまう可能性があります。

優良認定を受けることで「技能実習3号の受け入れが可能になる」「実習生の受入人数を拡大できる」といったメリットが発生するため、優良認定を受けている企業や優良認定を目指している企業は、技能実習生の失踪に細心の注意を払う必要があります。

参考:法務省 入国管理局 ・厚生労働省 人材開発統括官 | 新たな外国人技能実習制度について

技能実習生側が受ける可能性のあるペナルティ

失踪してしまった後、技能実習生が課せられる可能性のある主なペナルティとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 懲役刑・罰金(不法滞在を行った場合)
  • 出国命令
  • 在留資格の取り消し

失踪後、在留資格(就労ビザ)の期間を過ぎても滞在していた場合や、在留資格の範囲外の活動を行いながら日本に滞在していた場合は、懲役刑や罰金が課せられる場合があります。また、不法滞在を行っていた技能実習生が自ら出頭した場合は出国命令が下されるとともに、上陸拒否期間(1年)が設定されます。

さらに、在留資格の範囲外の活動を続けていた場合は在留資格の取り消しとなる可能性も。

失踪した場合は知らないうちに不法滞在・在留資格の範囲外活動を行ってしまうことがあるため、技能実習生にもペナルティが課される可能性は十分にあります。

技能実習生の失踪を防ぐための対策は?

技能実習生が失踪してしまうと、本人にも受入企業にも大きなダメージがあります。今後の対応策をとるためにも、技能実習生の視点から失踪の原因を見極めることも重要です。

技能実習生が失踪する際の主な理由としては、以下のような調査結果が出ています。

  1. より高い賃金を求めて(67.2%)
  2. 実習終了後も稼働したい(17.8%)
  3. 指導が厳しい(12.6%)
  4. 暴力を受けた(4.9%)
  5. 帰国を強制された(2.5%)

参考:法務省|調査・検討結果報告書

「より高い賃金を求めて」、つまり低賃金のためより高い賃金の就労環境を求めて失踪する、という理由が失踪理由の7割弱を占めています。このことから、技能実習生を適正な賃金で雇用することが失踪を減少させる一番の対策であると言えるでしょう。

具体的な対策は下記の通りです。

  1. 業務内容の明確な共有
    • 技能実習生に対して、日本で従事する業務の詳細や習得する技能について、事前に詳細な説明を行います。予定される技能実習の業務内容を明確にすることで、実習生が業務に対して納得感を持ち、モチベーションを維持できるようにします。
  2. 給料の仕組みや控除の説明
    • 技能実習生の理解を深めるために、給料の仕組みや控除の理由を実習生の言語で丁寧に説明します。賃金の総支給額だけでなく、控除される税金・社会保険料や、食費・居住費等の控除項目についてもその金額や目的、内容を詳細に説明し、実習生からの理解と同意を得ます。
  3. 異文化理解の促進
    • 実習生との間で生じる文化的な誤解を避けるために、異文化への理解を深め、お互いを尊重することが基本です。指導やアドバイスをする際には、文化や言語の違いに配慮し、実習生が不快に感じないように配慮します。常に実習生一人ひとりの状況を考え、敬意を持ったコミュニケーションを心がけ、信頼関係を築いていきます。

外国人技能実習生の失踪を発生させないために|出入国在留管理庁

まとめ

技能実習生を含む外国人労働者の数は増加の一途をたどっていますが、それに伴い、失踪する技能実習生の数も同様に増加しています。失踪する主な理由を踏まえ、双方にとって納得のいく雇用環境の構築を目指し、技能実習生の失踪を防ぎましょう。

もし技能実習生が失踪してしまった場合は、この記事で紹介した対応策を参考にしてください。技能実習生と企業双方の理解と協力が、問題解決の鍵です。

さらに、強制送還のプロセスやそれに伴う費用、再入国の可否などについて詳しく知りたい方は、下記の関連記事をご覧ください。深い理解を深めることで、技能実習生への適切な管理と支援につなげることができます。
▶︎ 強制送還の意味とは?再入国の可否や生じる費用、その後の処分を解説

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